セダンは、子どもに手がかからなくなってから夫婦で乗る車。 内田さんは、そう思っていたという。 ところが、ジープ チェロキーのXJから乗り換えたのは、黒いBMW 5シリーズ セダンだった。 40代の自営業の広告ディレクターで、妻と子ども2人と暮らす。 家族を乗せる機会が増えた今、なぜセダンを選んだのか。
初めての一台に、古いXJを選んだ理由
内田さんが初めて自分の車を持ったのは、30代後半、2016年ごろ。 それまでは電車で移動し、車が必要なときもカーシェアやレンタカーで事足りていた。 「車を持つのは結構遅めだった」と振り返る。
車への憧れは、子どものころからあった。 父親の車や街を走る車を見て、大人になったら自分もこんな車に乗るのかと胸を躍らせた。 その記憶には、家族旅行の途中で車が止まり、父親がボンネットを開けて慌てていた姿も残っている。
初めての一台として目に留まったのは、中古のXJだった。 本人の記憶では、1996年ごろの車だったという。 子どものころに乗っていた昭和・平成の車への憧れがあり、XJの角張ったデザインにも惹かれた。 もっと快適な車はいくらでもあったが、それに慣れてしまえば、古い車には戻れなくなると思った。
「一番最初にこれ乗っといた方がいいな」
ジープ チェロキー(XJ)の参考写真。内田さんが所有していた車両はリフトアップした個体だというから、さらに個性的だ。(写真: IFCAR / Wikimedia Commons, パブリックドメイン)
当時はまだ子どもがおらず、妻も車を持つことに賛成してくれた。 こうして乗り始めたXJは、やはり手がかかった。 キーを回してもエンジンがかからないことは珍しくなかった。 冷却系の不具合は購入店でも直せないと言われ、修理を引き受けてくれる専門店を探す必要もあった。 日暮里にあるアメリカ車の専門店まで、わざわざ修理に通ったという。
「旅の思い出も、トラブルがあったほうが印象に残る気がします」と話す内田さんは、XJにはかなりの愛着があったという。
できれば乗り続けたかったというが、冷却系の不具合が直らず、次の車検は難しいと感じるようになった。 子どもも2人になり、乗り換えを決めた。
引き渡しの日、家から車を出そうとすると、またエンジンがかからない。
「こいつも行きたくないと思っているのか……。ごめんね、僕も寂しい」
そう思うと、胸が詰まった。 けれど、2分ほどたってもエンジンはかからない。
「もうええやろ!そういうところだぞ!」
手放した今も、上の子はときどき、前の車のほうが楽しかったと話すそうだ。 乗り心地の悪かったXJを、子どもがそんなふうに覚えていたことは、内田さんにも印象的だったという。
セダンに乗るのは、子育てが落ち着いてからだと思っていた
次の車には、ジープのグランドチェロキーも考えた。 ただ、内田さんには大きすぎ、整った顔つきも好みとは違った。 ほかのSUVも候補に入れていたとき、販売店の営業担当から、5シリーズ セダンは広いので一度乗ってみてはどうかと勧められた。
BMWは初めてだったが、試乗の印象はよかった。 車幅には気を使ったものの、操作に迷うスイッチもなく、走りながら説明を受ける程度でなじめたという。
「BMWって、走りは結構硬派なイメージだったけど、こんなに乗りやすいんだ、と」
内田さんの5シリーズ セダン。正面から見ると、低く幅のある構えがよくわかる。
低く伸びやかな形も気に入った。 父親のマークIIやクラウンで育った内田さんにとって、セダンは車の原点に近い形でもあった。 ただ、自分たちが乗るのは、子どもに手がかからなくなってからだと思っていた。 今選んでいいものか、ほかのSUVにするか、最後まで迷ったという。
しかし、子どもが生まれてからは、以前よりもずっと車を使う機会が多くなっていた。 乗っている間に子どもたちが眠ってくれて、荷物も一緒に運べる。
レンタカーやタクシーでアルファードに乗ると、後席は圧倒的に快適だと感じる。 ただ、自分で買えば、座るのは主に運転席だ。
どこへ行くにも車を使うようになり、運転する回数や時間が増えたからこそ、運転席に座る自分にとっても気持ちのいい車を選ぶべきだと考えるようになった。
「よく考えたら今が一番運転するだろうから、今、乗りたい車に乗ろうと思いましたね」
妻には以前から、好きな車に乗りたいこと、自分のお金で買うことを話していた。 5シリーズ セダンについて相談したときの返事は「まあいいけど」だったという。 エアコンの効きも悪く、乗り心地にも難のあったXJに付き合ってもらっていたから、今回は受け入れてもらいやすかったのかもしれないと、内田さんは振り返る。
気分よく乗れることを大事にしたい
5シリーズ セダンの走りはクセがなく、すぐになじめたと内田さんは話す。 走行感覚はしっかりとしていて、ディーゼルエンジンならではの力強さも、その印象につながっているのだろう。 形のきれいな車に自分が乗っているという満足感も、運転する楽しさの一つになっている。
日々をともにする、大人っぽさとスポーティさを併せ持つBMWらしい運転席。
自分の気分を良いほうに保つことは、仕事でも心がけている。 自営業の内田さんは、毎月決まった給料を誰かが保証してくれるわけではない。
「ある意味リスクのある方を取って今仕事をしていると思うんですね」
自分で責任を負って仕事をするからこそ、少しでもいい仕事ができるよう、気持ちを前向きに保っておきたい。 一つひとつの仕事にも、楽しみを見つけるよう心がけているという。
好きでやる仕事でも、きついと感じることやプレッシャーはある。 仕事に向かう道中、自分がハンドルを握っている間でも、自分の気分が上がるようにしておきたい。
「食事だったら美味しいもの食べたいし、それが車にも通じてるかもしれないですね」
ベビーカーもチャイルドシートも、セダンに載せて
その5シリーズ セダンを、家族4人の暮らしでどう使っているのか。 トランクを開けてもらうと、折りたたんだベビーカーと収納ボックスが収まっていた。 内田さん自身も、荷室については「意外と入るな、という印象でした」と話す。
ベビーカーと荷物が収まるトランク。XJと比べると、高さには制約がある。
もっとも、荷物はXJのほうが積めた。 5シリーズ セダンのトランクには奥行きがあるが、高さが限られる。 以前のように店で買った大きな家具を積み込むといったことは難しい。 買い物の前にベビーカーをおろしたりと不便がないわけではないが、困るような機会はほとんどないという。
「必要なら以前のようにレンタカーやカーシェアも使えますしね」
後席にはチャイルドシートが2脚並ぶ。 乗り換えに合わせて、両方とも買い替えたそうだ。 以前のものも使えたが、せっかくなら車の雰囲気に合わせたかったという。 周りには、子どもたちの枕やブランケットも置かれていた。
黒いセダンの後席にチャイルドシートがあるので、仕事先でドアを開けると笑われることもあるという。 内田さんにとっては、家族と出かけるためのいつもの車内だ。 大きな買い物をする日には荷物の積み方を考えるが、子どもを乗せ、ベビーカーを積んで普段の移動に使えている。
車の雰囲気に合わせ、乗り換えと一緒にそろえたチャイルドシート。
好きなセダンで、家族と出かける
内田さんは、車のスペックを細かく語るほどのめり込んでいるわけではない。 けれど、自分の車を持ってから、何に乗って移動するかを気にするようになった。
「旅行先でレンタカーを借りても、やっぱり自分の車で走りたいなーって思っちゃいますね」
もし自分の好みと違う車を選んでいたら、今ほど車で出かけていなかったかもしれない、とも話す。 好きな車であれば、家族を乗せて出かける道中も、自分の楽しみになる。
セダンに乗るのは、子育てが落ち着いてから。 そう思っていた内田さんだが、チャイルドシートを2脚置き、ベビーカーを積んで使ってみれば、家族4人の普段の移動に困ることはほとんどなかった。
家族で使えることも、ハンドルを握る自分が気分よくいられることも、日々乗る車には大切だ。 子育てが落ち着くのを待たずに選んだ5シリーズ セダンは、内田さんにとって、その両方を満たしてくれる一台になっている。
よくある質問
内田さんはセダンでどのように子育てしていますか?
後席にチャイルドシートを2脚付け、トランクに折りたたんだベビーカーを積んで使っています。以前のXJより荷室の高さが限られ、大きな鏡などは積みにくく、荷物を家に置いてから家具店へ行く手間もあると話しています。




